投稿日 : 2019/01/11

ダイエットといえば、様々な有酸素運動がありますが、登山はそのなかでも消費カロリーが多く、有効な有酸素運動のひとつ。

しかしこのような消費カロリーが多い登山では何も食べなかったり、糖質制限と組み合わせたりなどは危険であり、平地で行うダイエットの方法と同じわけにはいきません。そこで登山で健康的かつ安全にダイエットを行うには、登山の難易度や時間、食事の内容が重要でありこれらについて栄養士目線で詳しく検証したいと思います。

実際に一般的な登山の消費カロリーは・・・フルマラソンを超える!?

雲取山にて撮影

 

登山の消費カロリーは標高にもよりますが、登山までの行き帰りの行程を合わせると、消費カロリーが3000kcal以上になることもめずらしくありません。

一般的な登山の消費カロリー算出は、いくつかの計算式があります。

・標高差や荷物などの要素を加味した算出方法

消費カロリー
=1.8×行動時間(h)+{0.3×距離(km)+10×上りの標高差(km)+0.6×下りの標高差}×(体重+荷物)kg

・運動強度(METs※)から消費カロリーを出す方法

消費カロリー
=1.05×体重(kg)×メッツ×時間(h)で計算できます。

※ METs(メッツ)とは活動や運動を行った場合に、安静時の何倍の代謝(カロリー消費)をしているかを表します。
例えば2METs(料理や家事全般)であれば、安静時の2倍の代謝(カロリー消費)となります。

実際に「体重60kg」の人が「5kgの荷物を持って」、「4時間」の登山をした場合

運動強度   7.3METs
消費カロリー 1840Kcal(1.05×60kg×7.3メッツ×4時間)

私たちは生命を維持するために、安静時でも消費される基礎代謝量(40代男性で1500kcal程度)や登山以外の消費カロリーもあり、これらを足すと登山を行った一日の総エネルギー消費量は3000kcalを上回ります。

これは、フルマラソンで消費するカロリー(体重×42.195)並なのです!

週1の日帰り登山は毎日ウォーキング1時間を1週間続けたことと同じ

仮にウォーキング(4.3メッツ程度)でこれらのカロリーを消費しようとすると、
4.3メッツ×60kg×1.05/1840kcal=7時間
これは毎日ウォーキングを1時間、一週間続けたこと計算上同じことになります。

登山とその他の有酸素運動の消費カロリーの一例

登山のMETs
6.5  荷物(0.4-1kg)を持って山を登る
7.3  荷物(4.5-9.1kg)を持って山を登る
8.3  荷物(9.5-19.1kg)を持って山を登る

その他のMETs
4.3  歩行、5.6km/時、速い
6.0 野原をハイキング
8   ランニング、自転車、水泳(クロール普通の速さ)
出典:国立健康・栄養研究所【身体活動のメッツ(METs)表】より抜粋

登山と平地の消費カロリーの違いとは?

登山の道は上りや下りといった変化があり、全身を使います。
標高の高さにより酸素濃度が平地に比べて少なく、体は酸素を取り込もうと心肺機能がフルに働き、心拍数が上昇して消費カロリーが増大します。また登山はだいたい上りと下りの往復で時間にすると3、4時間以上はかかります。

また食飲料や携行品が入った重い荷物が体に負荷をかけて、さらに消費カロリーが増します。
筆者も日帰りの比較的低い登山の場合でも、荷物は軽く3Kgは超えています。

登山で健康的にダイエットするのに適した難易度や時間は?

東海大学の研究では、以下の場合に登山で肥満解消に効果的とあります。

  • 週1回の登山と、週2回の平地でのウォーキング1時間の併用を3ヶ月以上継続
  • 難易度は、標高1000M程度の山で距離4km~6Km、およそ3~4時間の登山

距離4-6km、標準コースタイムが3-4時間で終わる山で、なおかつアクセスが良くおすすめの山といえば・・・

関東なら

  • 高尾山
  • 筑波山
  • 大山(ケーブルカー利用)
  • 金時山

関西なら

  • 愛宕山
  • 比叡山
  • ポンポン山
  • 金剛山
  • 六甲山系

あたりがおすすめですね。登山口と山頂の標高差とコースタイムによりますので、山の標高=難易度ではありません。

登山は生活習慣病予防の発症率を下げる

また高地にすむ住民には、長寿者が多いことや心疾患や高血圧の発症率が低く、生活習慣病の発症率が低いことが示唆されていますので、登山の嬉しいメリットといえますね。

急な傾斜や上りがきつすぎたりするのはおすすめできません。無酸素運動となってしまうので強度をあげるのは逆効果です。あくまで自身の体力に合わせて、ゆっくりと楽しめるレベルでゆるやかに長時間登山できることが、一番効果的な有酸素運動になります。

登山をする上ではずせない栄養素は糖質!制限は厳禁!

普段のダイエットで敬遠されがちの糖質ですが、登山においては積極的に摂る必要があります。
食事から摂った糖や脂質は、体内でATPというものに変換されて体の至る所でエネルギーとして利用されます。

糖質はこのATPへの変換が速く、即エネルギーとなります。よって登山のような過酷な状態でも体内に蓄えられている糖質がある限り俊敏に体が動きます。また脳のエネルギー源でもあるので、登山中の道順の記憶や判断力においても欠かせないものです。

糖質が枯渇すると脂肪を分解してエネルギーを確保しようとします。しかし脂肪はこのATPを産生するスピードが遅く、登山のような強度の高い運動では追いつかずに、いわゆる“バテの状態”を招きます。

最悪の場合は山中で行動不可能になることもあります。糖質制限と組み合わせては絶対にいけません。

登山の前後は糖質制限などのダイエットはしない

登山の前日までしっかり糖質を摂って、体内に糖質を貯蔵しておく必要があります。糖質制限などのダイエットと組み合わせることは危険ですのでやめましょう。登山では糖質なき道は無いのです。

登山のときの理想的な食事内容とは?

登山の消費カロリーは3000kcalを上回るとお伝えしましたが、3000kcalすべてを食事で摂る必要はなく、体内貯蓄の糖や脂肪を分解して利用するので、6割程度を食事でまかなうことになります。消費カロリー3500kcalとすると6割、つまり2100kcal分の食事を摂っても太らないということになります。

朝食では糖質とタンパク質、脂質をバランスよく

そして野菜スープなどの体を温めるもので代謝を促すものも◎。他のスポーツでも同じですが登山前もお腹一杯に食べず、腹7分目程にとどめましょう。昼食も糖質中心で手軽かつ食べやすいものであれば好きなものを食べて構いません。

登山後はなるべく早く“糖質”と“タンパク質”を補給

そしてここが大事なポイント、疲れきった体を回復するために登山後なるべく早く“糖質”と“タンパク質”を補給することが疲労回復を高める方法です。登山後2時間後にこれらを摂った場合と、直後に摂った場合では吸収率が2倍程度異なります。登山直後にパンや具入りのおにぎり、チーズ、豆乳などが手軽でおすすめです。

登山中は1時間に1回は休憩を!そこで糖質、水分、塩分を補給すること

食事とは別に登山中は1時間に1回、100Kcal~200Kcalほどの食べ物を摂りましょう。
以下がすぐにエネルギーとなり胃腸に負担が少ないおすすめの食べ物です。

  • おにぎり(コンビ二おにぎりで約178Kcal)
  • バナナ(中1本130Kcal)
  • チョコレート(スニッカーズであれば1本あたり247kcal)
  • ナッツ(20粒で約120kcal)
  • ようかん(1切れ50gで150kcal)
  • ドライフルーツ(プルーン50gで約120kcal)
  • チーズ(1個53kcal)
  • ウィダーインゼリー(1袋180kcal)
  • カロリーメイトなどの栄養補助食品(1本100kcal)

登山中は甘いものOKです。ダイエット中の意識を捨てましょう。

登山中は普段食べたくても我慢している甘過ぎる物や塩分が高い食品を選んで構いません。ダイエットを一切考える必要がありませんので、登山中なら食べたいものを食べて大丈夫です。

欲求が充たされることで精神的にもリフレッシュにつながりますね。

登山ダイエットのまとめ

今回は登山での安全なダイエットの方法をご紹介しました。消費カロリーが多い登山ではダイエットを意識しなくても、継続することで痩せやすい体質になることは可能です。平地の歩行と登山のどちらにおいても、食事からしっかり栄養を摂り、適度な運動で健康的な体づくりがダイエットの成功への道です。

楽しみながらできる登山は有酸素運動としておすすめなので、ぜひ登山で心身ともに健康的な体を手に入れましょう。

運動の基礎科学 厚生労働省
日本体力医学会誌
東海大学スポーツ医科学雑誌
スポーツ栄養学
食品成分表

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